眼球を置いてその辺りをうろつけば、飛び交う煌めきは浸食の音を目に響かせる。
こちらを見ているわたしのまなざしはモチーフには届かず、わたしで止まる。 わたしの歩みの加減でモチーフは幾多にも姿を変えるが、置き去りの描いている者の精神が歩みを止め、世界を仮止めする。
触れる風がわたしを呼び、刺さる日差しがわたしを覚ます。
その度にまた眼球を置いてわたしは歩き出す。飛び交う煌めきは浸食の音を目に響かせる。
歩きすぎれば暗闇とも言い難い膜のようなものでわたしは覆われ、ただただ埋もれていく。線は見当たらず、色も分からない。眼球を預けた者は描きようのない世界に翻弄される。

藤木寛充

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